和泉雄一西堀 雅一
(にしぼり まさかず)

経歴

1984年 昭和大学歯学部卒
1993年 ペンシルベニア大学歯学部歯周補綴科卒
1997年 米国歯周病学会認定医
1999年 東京医科歯科大学高齢者歯科学講座非常勤講師
2001年 日本歯周病学会指導医
2004年 昭和大学歯学部歯科矯正学教室非常勤講師
現職 西堀歯科医院院長

研究テーマ

インプラント及び歯周組織における再生療法

歯周補綴におけるインプラントの役割と実際

現在、一般的な慢性歯周炎に関してはその治療法がほぼ確立している。
本質は歯周炎におけるプラークを含むリスクファクターのコントロールにあり、初期治療等を行うことで病変の進行を止める事ができる。しかしすべてのリスクファクターをコントロールし続ける事の困難さはだれしもが経験するところであろう。歯周炎によって引き起こされたさまざま歯周組織の変形が患者自身のプラークコントロールを困難にすることもひとつの大きな要因である。患者自身がプラークコントロールしづらい部位を、何らかの方法で修正することはメンテナンスをしていくうえで重要になるだろう。

さらに、歯周炎により付着の減少した歯では、通常の咬合力でさえも外傷的に作用し歯は移動する。臼歯部の咬合支持が、全部あるいは一部失われ、その結果前歯部が突出するいわゆる臼歯部咬合崩壊の症例はそのひとつの典型的な例である。このような症例では歯周炎によって引き起こされた炎症をコントロールしたのち、臼歯部における適切な咬合支持と前歯部誘導を得る必要があると考えられている。長期的に安定し、機能的でかつ審美的な歯列を回復することを治療の目標とするならば、歯周炎における咬合性外傷の影響を考えるとともに、欠損補綴が必要な場合には補綴的な咬合の要件も考慮する必要があるだろう。歯周補綴とは臼歯部咬合崩壊を伴う患者に対し、固定性補綴物を用いて補綴することをいう。

歯周補綴においてインプラントの使用は、患者、術者双方に大きな利益をもたらす一方、インプラントが歯牙と異なる挙動を示すことから、治療計画の立案に当たってはより複雑さを増したとも考えている。