宮崎 隆宮崎 隆
(みやざき たかし)

経歴

1978年3月 東京医科歯科大学歯学部卒業
1984年4月 昭和大学歯学部講師(歯科理工学講座)
1991年10月 昭和大学歯学部教授(歯科理工学講座)現在に至る
2003年4月 昭和大学歯学部長 現在に至る

学会活動

一般社団法人 日本歯学系学会協議会 理事長
公益社団法人 日本口腔インプラント学会 理事
日本デジタル歯科学会 前会長
一般社団法人 日本歯科理工学会 元会長
一般社団法人 臨床歯科理工学会 理事

インプラント治療に必要な歯科理工学の基礎

インプラント歯科治療の成功のためには、検査、診断、治療計画に基づいた処置、メンテナンスなど一連の工程のなかで、材料・器械・技術の観点から歯科理工学の関わりは大きい。本講義では、インプラント歯科治療に必要な歯科理工学の基礎と最近の知見を紹介する。

1)材料の力学的評価
インプラントならびに上部構造には、機能下で力学的荷重が付与され、内部に複雑な応力が発生している。長期の耐久性のためには、材料の力学的特性を理解することが必要である。その基本は、金属は靭性に富むが、セラミックスは脆性で引張応力に対する抵抗性が低いことである。ハイドロキシアパタイトが単独でインプラントとして使用されず、チタン(合金)のコーティング材料に利用されているのはこのためである。物性評価試験の違いを理解しよう。
2)チタンインプラントの表面と生体反応:骨質の評価法
インプラント歯科治療は生体にとって異物である装置を生体と共存させる治療であり、埋入されたインプラントと生体組織の生体反応の結果がいわゆるオッセオインテグレーションの達成になる。チタン(合金)とハイドロキシアパタイトの表面における生体反応には、表面の化学構造が影響している。チタンに種々の表面処理を施すことによって、チタン表面の酸化膜の状態が変わり、その化学構造が骨形成能に影響することを、新しい分析結果をもとに紹介したい。
3)骨移植材の歯科理工学的特徴
最近、歯周病領域の使用される骨移植材の薬事承認がとれ、インプラント歯科治療でも期待されている。異種骨材料および人工材料(ハイドロキシアパタイト、リン酸カルシウム)の特徴を紹介する。
4)CAD/CAMの現状と今後
インプラント埋入の手術シミュレーションやガイドサージェリー、さらには上部構造作製に、近年CAD/CAMが応用されている。講義では歯科用CAD/CAMの特徴、ジルコニア系セラミックスの特徴とフレームワークへの応用の可能性について紹介したい。